ジャパン・ウォーター・ガード


ジャパン・ウォーター・ガード
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●21世紀の環境保全と豊かな水辺を取り戻すために●
地球の水を守ろう!!
活動内容
水質浄化作戦
日本の水源を守ろう
利根川を守ろう
循環型社会の構築
さまざまな活動
ゆたかな海をつくろう
藻場再生プロジェクト
背景
海の現状
磯焼け
赤潮
青潮
対策
海の森づくり
ミネラル供給
循環と酸素供給

    

藻場再生プロジェクト

背景

 地球は水の惑星といわれ、海は地球表面積の70%を占めています。しかし、海で行われる植物プランクトンや海藻及び海草の光合成による基礎生産は、そのごく僅かな部分で行われているにすぎません。光合成を行う海藻類などの植物は、太陽光線が必要なため、太陽光線の届く海のごく浅い部分に生育 しています。そして、光合成植物を藻場として、産卵や生育する大部分の魚介類もこの領域を住処としています。しかし、この水深50mより浅い海(干潟・磯・浜)の面積は、海洋総面積のごく僅か0.6%でしかありません。 海の基礎生産のほとんどが、この僅かな浅い海で行われていることは、この浅い海の環境が悪化すれば、海の基礎生産量を大きく減少させることになります。
 
 そして、私たち多くの人類も、浅い海の沿岸で暮らし、この基礎生産の行われている大切な海で、漁をしたり遊んだりして親しんでいます。海とともに暮らし、海の恩恵により豊かさを得ているのです。この浅い海は、海の基礎生産の場としても、私たち人類にとっても重要な水域なのです。

      


    


 
 しかし、近年の急激な経済発展と産業活動は、この浅い海の環境を犠牲にし、藻場が激減するなど環境破壊を進行させています。

   

海の現状

 二十世紀における先進国の高度成長によって引き起こされた劣悪な海洋汚染は、突発的事故を除き改善の方向に向かっています。しかし、全ての排水が、最終的に海洋に流出することから根源的には解決されていません。また、アジアやアフリカなどの途上国において、経済発展が顕著となり、工業生産量とともに汚染物質排出量が増大することにより、地球規模での海洋汚染は拡大しています。

 沿岸地域では、都市開発や防災工事のため埋め立てや浚渫が継続的に施工され、都市部の沿岸海域には、あっという間に人工構造物が建造されます。都市開発や埋め立てをまぬがれた内湾の漁場は、過密養殖などで環境悪化の一途で、かつての好漁場は、海藻類の枯れ死により「磯焼け」と言われる状態となり、それによって、生息するアワビやウニ、磯付き魚などの収穫が激減しています。

 一方、私たちの豊かな生活から、大量の窒素やリンが継続的に排出され、海域における生態系バランスを崩しています。富栄養化現象を引き起こし、植物プランクトンが大増殖をして「赤潮」を発生させています。さらに、海底が無酸素状態になると、酸素の含有量が極端に少ない貧酸素水塊ができ、夏季に海面上に移動し「青潮」を発生させます。富栄養化はヒトデやクラゲなどの大量発生を招き、海藻類や珊瑚などにダメージを与え、赤潮や青潮の発生により、さらに浅い海の環境は破壊され「磯焼け」が拡大します。

    



 ◇磯焼け

 淡水と海水が混ざり合う汽水域が、豊かな海となるために不可欠な海藻類の繁殖は、内陸部より供給される鉄分などのミネラルが重要な働きをします。内陸部の森では落ち葉などが腐葉土となり、大地には鉄分など鉱物資源が含まれています。雨水は、森の表層を流れ、大地に浸透して河川に集約され、流れ出る水には鉄分など様々なミネラルが溶け込みます。そのミネラルを豊富に含んだ水が、河川から海洋へと流れ出て、汽水域の海藻類に吸収され、海藻類は繁殖することができます。

 しかし、近年、内陸部では都市化が進み、河川源流部ではダムが建設され、下流域では護岸など河川改修が行われたことにより、大地のミネラルは海まで流れ出づらくなりました。さらに、ミネラル供給源の森林は、林業の衰退などにより、手入れが行き届かず荒廃しています。森林の育むミネラル鉄分が、海に供給されなくなり海藻類は繁殖できず、磯焼けとなっています。

    



 ◇赤潮

 日本など先進国においては、下水道普及や排水処理技術の進歩により、特定発生源からの点源負荷は減少し、有機物や化学物質による水質汚染は改善に向かっています。しかし、排ガスや農業排水などからの面源負荷は減少せず、窒素やリンの排出は増加しています。一方、急速な経済発展をする後進国では、工業生産量の増大や生活環境の向上により、処理設備が間に合わず、大量の汚濁物質が未処理のまま排出されています。この窒素やリンなどの栄養塩類は、河川から海洋へと流れ込み、汽水域は富栄養化状態となり、植物プランクトンが大量発生し「赤潮」となります。赤潮についての詳細はこちら


    



 ◇青潮

 赤潮など大量発生した植物性プランクトンの死骸が海底に溜まると、その分解に大量の酸素が消費され海底は無酸素状態になります。また、沿岸の埋め立てや大型船航路造成のため海底から土砂を浚渫しますが、浚渫した後の大きな穴が放置され、穴の中の海水はほとんど移動せず無酸素状態になります。これら無酸素水には、海底の硫化水素が含まれるため、この硫化水素が海面近くの酸素と化学反応を起こすとエメラルドグリーンの「青潮」となります。


    



 ★CO2吸収による地球温暖化防止

 海洋における一次生産を支える海藻類などの光合成は、二酸化炭素CO2を吸収し、酸素O2を 排出します。CO2は、近年地球規模での環境破壊といわれる地球温暖化の原因物質として削 減が求められています。海藻類が繁殖し旺盛に光合成を行えば、CO2を大量に吸収するため、 地球の温暖化を防ぐ有効な手段となりますが、海藻類が減少すればCO2は減少せず、温暖化 が加速してしまいます。海洋の一次生産量は、熱帯雨林にも匹敵すると言われるため、海藻類 が繁殖する浅い海の環境を保全することは、非常に有効な地球温暖化防止対策となるのです。 海の森づくりは、海洋の環境改善だけでなく、温暖化防止など地球規模での環境保全に貢献します。

    


 ◇対策へ

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