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   ■ペルー概況

 ペルー共和国、通称ペルーは、南アメリカ西部ほぼ赤道地域から南緯18度に渡り位置する共和制国家で、北にコロンビア、北西にエクアドル、東にブラジル、南東にボリビア、南にチリと国境を接し、西は太平洋に面しています。ほとんど雨の降らない乾燥した砂漠から、標高6000m級の連なるアンデス高地、ジャングルに覆われたアマゾン流域の密林地帯まで、変化に富んだ風土と気候がこの一つの国に存在しています。国土の60%がアマゾンの熱帯雨林地域で、流域面積世界一を誇るアマゾン川は、ペルーを源流としてブラジルを流れ大西洋に注いでいます。 紀元前から多くの古代文明が栄え、16世紀までは当時の世界で最大級の帝国だったインカ帝国(タワンティン・スウユ)の中心地でした。その後、スペインに征服された植民地時代を経て、1821年にスペインより独立し、ペルー革命や軍事政権など、幾多の内乱を経験し、1980年に民政移管され現在の政治体制となっています。 2010年のペルーのGDPは1534億ドル(約12兆円)、産業の中心は、銅・鉛・亜鉛・銀・金などの鉱業で、水産業も盛んに行われています。現在、ペルーの経済成長率は、南米トップクラスで、有望な新興国として世界より脚光を浴びています。
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  • ペルー総面積: 約128万km² (日本の約3.4倍)
  • ペルー総人口: 約3000万人(2012年)
  • 首都リマ人口: 約800万人(2012年)


 ■水の現状
 ペルーの水は、多様な地勢のため地域によって状況が異なり、標高6000m級のアンデス山脈の東と西では、その様相が一変します。東側のアマゾン源流地域は、密林地帯のため雨量は豊富ですが、西側の砂漠地帯はほとんど雨が降りません。 首都リマを始め、大多数の人々が住んでいる都市は、アンデスの西側の砂漠地帯にあります。この太平洋に面した幅30~50km、長さ3000kmの海岸砂漠地帯はコスタと呼ばれ、チャラと呼ばれる気候区分に入り、年間の平均気温は20℃前後年間を通じてほとんど雨が降りません。そのため、水の供給は、東側のアンデス山脈から流れ出した河川からの取水と、地下を浸透し湧き出た湧水オアシスによっています。人々は、河口付近やオアシスに集い、集落を造り都市を形成しているのです。


リマ市ミラフローレス地区

 ■ペルーの水問題
  ペルーの水問題の一つは、多くの人々が住む海岸砂漠地帯に流れる河川が、標高6000m級のアンデス山脈から、僅か100kmの距離にて太平洋に注ぐことがあります。つまり、大きな高低差を短い距離にて流れるため急流となり、水を有効に利用できません。日本の利根川が、関東平野を約100km流れますが、関東平野出発点の前橋の標高は約100mですから、その勾配の凄さが分ります。そして、アンデスの季節による雨量変化に大きな影響を受けます。11月~4月の夏季は、雨が多くて水量が豊富ですが、6~9月の冬期は雨が降らず水量が少ないのです。そして、山間部に貯水ダムが少なく、雨季に水を貯留しておけず、実際に使用できる水量は限られています。
 夏季に、水が豊富といってもアンデスに大量に降る雨は、大地を洗い流し濁流となります。さらに、ペルー経済を支える鉱山が山間部に多くあるため、有害重金属を含む鉱山排水や土砂などが一気に流れ出し、河川はブラックウォーターと言われるほど汚染されます。リマ市を流れるリマック川は、濁水の川へと変貌し、800万人のリマ市民はこの濁水を取水して飲料水としています。



リマック川

カニエテ市郊外

ミラフローレス地区


    もう一つの水問題は経済発展によるもので、途上国の経済発展は環境破壊を招くことは、どこの国においても同様ですが、ペルー特有の問題もあります。 先ず、ペルー経済を支える鉱物資源の採掘による鉱山排水は、ほとんど未処理のまま流されています。日本など先進国が鉱物資源を得るために、ペルーの水は汚染されているのです。ボリビア国境にある、世界一高地にある琵琶湖の12倍もある淡水湖「チチカカ湖」は、観光地としても注目をあびていますが、生産量世界3位の銅鉱山からの排水で汚染されています。
 そして、都市部の人口集中により屎尿排水、生活排水、工場排水が増加し、その多くが、未処理のまま太平洋に流れ出ています。リマ市などの大都市には、一応の下水処理場がありますが、その多くがラグーン処理方式と呼ばれている施設です。ラグーン処理は、大きなため池に下水を滞留させ、自然の浄化能力により処理するもので、大きな処理効果は望めません。そして、多くの地方都市では、ラグーン処理も行われず、未処理の下水が河川に放流され、それが太平洋に注いでいます。


ラグーン方式下水処理場


   多くの世界遺産がありインカ帝国という神秘性から、世界的観光地として注目されているペルーですが、多くの人々は貧困状態にあり、飲料水浄水、排水処理などの都市基盤設備は進んでいません。豊富な鉱物資源により経済発展著しいペルーでも、これらの基盤設備を短時間にて整えることはできず、水環境の現状は極めて厳しい状況です。

ワカ・プクヤーナ遺跡
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