− 目次 −
1.水の基礎編
2.水の現状編
§1.世界の水危機
・水不足による健康被害
・温暖化で加速する
水資源の偏在
・地下水枯渇による
農業用水不足
・水不足と汚染による
生物多様性の低下
・水不足による地域紛争
・仮想水貿易
・将来の見通し
§2.世界の水事情
・中国
・日本
§3.水質問題
・水環境問題の原因と現状
・河川の水質問題
・湖沼での水質問題
・海域での水質問題
-赤潮
§4.環境破壊の原因と現状
・地球温暖化
・オゾン層の破壊
・森林破壊
・砂漠化
3.水環境対策編
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第2章 水の現状編
地球の気温は、入るエネルギーと出るエネルギーのバランスによって決まる。最近の気温上昇は
C02の増加によってこのバランスが崩れたのが最大の原因とみられている。 C02は化石燃料を
燃やすことで多量に排出され、地球から出る熟を吸収する性質があり温室効果ガスと呼ばれる。C
O2の外にもメタンやフロン、亜酸化窒素などの気体も同様の働きをする。 |
1980年以降、地球の平均気温は急激に上昇している。世界各地に温暖化が原因と見られる熱波や
干ばつも多発している。海水の温度上昇により海水面が上昇し、海岸平野に広がる水田地帯は地下
水や河川に塩水が進入、雨量が減り砂漠化はさらに進行し地球規模で農業が崩壊する。温暖化は深
刻な食糧不足が世界的に広がる危険性をはらんでいる。 |
オゾン層を破壊するのは、冷蔵庫の冷房や噴霧剤に使われていたフロンやハロンという人工化学
物質である。これらの物質が上空に昇ると強い紫外線によって塩素原子を出す。塩素原子は次々に
オゾンから酸素原子を奪って、1個で1万個のオゾンを破壊してしまう。
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オゾンのほとんどは上空20kmくらいに存在し、オゾン層を作っている。オゾン層は太陽からくる
短い波長の紫外線を吸収してくれる。この短い波長の紫外線は皮膚ガンや白内障、遺伝子異常など
を引き起こす原因となる。この紫外線吸収の大切な働きをしているオゾン層が年々破壊されている。
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森林破壊の要因は、無秩序な商業伐採や農地や放牧地への転換である。化石燃料の燃焼によって
出る窒素酸化物や硫黄酸化物が大気中で硝酸イオンや硫酸イオンに変化し酸性雨なり、森林を枯死
させる。森林が破壊されると無数の生物が絶滅するだけでなくC02の吸収が減少し、地球温暖化
が加速され、気候変動に影響を与える。 |
熱帯林の破壊は、加速度的に進んでいる。このままだと2030年頃には熱帯林は全て破壊されるだろうと言われている。1980年代半ばには、世界で19億haの熱帯林があったが、毎年1420万haが伐採されたり、農地へ転用されたりしていく。造林は100万haで減少面積の10分の1にも満たない。 |
砂漠化の原因には、過剰耕作、過剰放牧、過剰伐採灌漑の不備があげられる。背景には急激な人
口増加がある。食料を充分満たすために土地を過度に使った結果、土地が疲弊し砂漠化する。それ
がまた食料不足に拍車をかけるという悪循環である。 |
毎年600haが砂漠化している。これは四国と九州を合わせたくらいの広さである。砂漠化にいたらなくても乾燥により生産力が低下してきている農地が2100万haもの割合で増加している。砂漠化が進行している地域では農業の生産力が落ち、飢餓や栄養不足が深刻になっている。 |
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